●amazon effect(アマゾンエフェクト) 書籍から商品全般、さらに経済全体へ

日本のクリスマス商戦でもいまや有名な名前、トイザラス。しかしこのトイザラスでその米国本社は倒産している。ネット通販の影響を受けてのものだ。
そのネット通販に革命的な影響を与えたのがamazonだというのは、いまや周知の事実。本から始まったその革命は現在すべての商品に及ぼうとしている。始まりにはロジスティックへの改革と、ビジネスモデルの刷新があった。だがいま、その革命的衝撃はAI活用により一層の進化と深化を魅せている。
・eコマース高度化(=「顧客直結」競争)の軌跡

市場という視点で見ると、日本はネット対応が急がれている割にはEC化率はまだ低い。つまり少子化に起因する人口減は当面所与の前提。消費市場もその規模を減少させざるを得ない。その中で、従来のチェーン間やエリアでの店舗間という ”リアルの競争 “に加え、ネットプレイヤーの台頭による ”ネットとの競争 “に直面しているのだが、なお対応の動きが既存日本企業に遅く、amazonを利している側面がある。
・過去一年間におけるクリック&コレクト利用率(2016年)

・世界におけるEC販売額と小売販売額全体に対するEC化率(2015-2020年)

・BtoC ECの市場規模およびEC化率の経年推移(日本)

・Amazon.comの売上推移

 

●なぜAmazonは売り上げの半分以上を“書店にない本”で稼ぐことができるのか http://president.jp/articles/-/14983
リアル店舗には物理的空間の制約がある。そこでの商売のポイントは「店頭に売れ筋を」であり、経営指標は「坪当たり売り上げ」になる。そこで店頭商品で回転をあげるか、単価をあげるかが重要になる。結果、「その店の売れ筋商品の2割で売り上げ全体の8割を占める」といった「パレートの法則」が成立する。
これに対し、ネット店舗では空間の制約はない。そのためここで見られるのは「ロングテール」領域商品に対するスポットライト。
書籍でいえば、本屋の店頭から追いやられがちな専門書は、amazonでなら売り上げを立てることができる。小規模な専門書出版社ほど、amazon依存度は高い。amazonなしに学術書、専門書の生き残りはないだろう。

●アマゾン、狙いは実店舗と即配事業の相乗効果?https://news.biglobe.ne.jp/economy/1114/jbp_171114_3644941260.html
米ニューヨーク・マンハッタンのタイム・ワーナー・センターに開店した「アマゾン・ブックス」。

Kindle開発の責任者だった人物がAmazon Booksを立ち上げ、さらにいま、書店やスーパーマーケットなどの実店舗事業と、生鮮食料品などの即時配達事業を統合、その責任者に任命された。

たとえばAmazon Booksでは、(あえて)書籍の価格表示しない。その結果、「顧客はスマートフォンで商品バーコードをスキャンし、価格などの書籍情報を得る。これにより、アマゾンは顧客の購買行動などを分析している。
このセンスに象徴されるアマゾンの小売り分野における技術革新の動きは、今後さらに加速することは間違いないだろう。

●ユニクロを脅かすアマゾンの"超個客主義"  http://president.jp/articles/-/23638
「アマゾンは人々が経済活動をするさいに欠かすことのできないインフラとなりました。」

「アマゾンはこれまで大量の購買情報を蓄積してきました。そして人工知能(AI)の進歩により、そのデータを使った商品開発の環境が整いつつあります。」
協調フィルタリングによるリコメンデーションの仕組みは、ビッグデータとAIで格段に進化しつつある。

●「アマゾンエフェクト」が物価に落とす影  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23654820Y7A111C1000000/
米国では経済統計にまで影響(エフェクト)を与え、アマゾンエフェクトと呼ばれている。
「競合をなぎ倒す「アマゾンエフェクト」から逃れようとする小売業の値引き戦略は、マクロ統計にも影響を与えている。米労働省が発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇と市場予想に一致したが、衣料品は2カ月連続で低下した。」

●Amazon Effect(アマゾン効果)は世界経済や物価にも影響、伊藤洋一氏が指摘 https://www.sbbit.jp/article/cont1/33862
「世界どこでも同一価格」の未来が現実化するか?
「「政府がいくら物価浮揚策を講じても、いま日本も米国もインフレが起きない現象が続いている。その背景にはITやクラウドの進展があり、それが一般物価の上昇を抑えている」と説明。中でも、アマゾンはその影響力が世界経済全般におよび、「Amazon Effect(アマゾン効果)」と呼ばれるに至っている」。
Amazonification of Main St.」:モノを売るメインストリートがアマゾンに飲み込まれ、アマゾン化している。「その結果、米国ではモールがバタバタと倒産している。」
Amazon Effect(アマゾン効果)」:証券や金融など、あらゆるものを含めて、アマゾンが経済を飲み込んでいる状況。

●【書評】ジョブ理論〜イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム https://www.shapewin.co.jp/blog1766
ジョブ理論(=片づけるべきジョブ理論|Job to Be Done):「顧客が製品やサービスを生活のなかに引き入れるのはあるジョブ(用事や仕事など)を片づけるため。
その理由を理解することこそ重要で、そのためには相関関係ではなく因果関係に着目すべきで、そこから始めなければならないし、この“なぜ”を理解できるか否か、それが運任せではないイノベーション正否の分岐点になる」。

ネット販売に目を移すと、「利用頻度増加によって拡大するeコマースの時間節約効果」こそ、ジョブ理論に合致する効果。

●利用頻度増加によって拡大するeコマースの時間節約効果 https://www.icr.co.jp/newsletter/icte20171115-yamamoto.html
これまでの買い物時間:出かける準備をして、店舗まで移動し、買い物をして帰宅するという手間がかかっていた。
eコマースの買い物時間:自宅又は移動中の電車内等で商品を注文し、自宅に届けてもらうことが出来るようになった。
・eコマース利用による1人あたり年間節約時間

・1回あたりの商品別の節約時間

日本にも成長の余地。「EC化率(全ての商取引金額に対するeコマース市場規模の割合)は5%程度と米国(約7%)や中国(約15%)と比べると低い割合に留まっており、日本のeコマース市場はまだ成長する余地がある」。

●変革期を迎えたeコマース進展の軌跡と今後の展望 ~躍進するアマゾンの驚異と脅威~ http://www.keieiken.co.jp/pub/infofuture/backnumbers/56/report01.html
いま進行している変化:「充たす需要の対象の広がり」という ”進化 “と、「要求の充たし方のレベル」という ”深化 “の二軸で捉えることができる。前者は主にDemand Chainサイドの高度化であり、後者は主にSupply Chainサイドの高度化。

●投資家が理解しておくべきアマゾン(AMZN)の本質 http://www.saki-imamura.com/entry/a-rundown-of-Amazon%27s-letters-to-shareholders
「長期的に株価を向上させる可能性があるのなら、短期的に株価に悪影響が出る可能性があってもたとえ失敗するかもしれなくてもどんどんチャレンジする、というスタンス」がamazon成長の鍵。
・It's Always Day 1(常にチャレンジし、安定を求めない)
・We'll Take the Cash Flows (利益よりもキャッシュフローを重視)
https://youtu.be/fTwXS2H_iJo

●アリババ(中)vs アマゾン(米) | 小島末夫 http://www.world-economic-review.jp/impact/article952.html
「ASEANでのネット通販を含むEC市場規模は,2015年時点の55億ドルから10年後の2025年には約16倍増の878億ドルへ急増すると見込まれている」。そのアジア、ASEANの地域初の、2017年7月配送センターをシンガポールに設置した。
その一年前2016年4月、中国の巨大EC企業アリババは地元企業の株買収のカタチで布石をいち早く打っている。
ポイントは島嶼国。陸上輸送だけでなく、海上輸送や航空輸送との複合輸送のロジステティック構築の巧拙が競争の鍵。