●20世紀マインドから21世紀マインドへ

170616 PS/A
┃Networks あるいは知のパラダイムシフト
ICT、意思決定、コミュニケーション、学び、意味と構造化など

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

トーハンの業績分析を読むと今の出版業界の苦境がわかる。特に雑誌の下落がはなはだしい。「業量が減少する中で人件費等のコストは上昇し、出版輸送の維持は喫緊の課題」だ。

ただこの苦境から脱出する方向性は案外、本の外の世界にヒントがあるかもしれない。

日本と中国を行き来する中国人には日本社会が20世紀をまだ疾走していると感じている。20世紀マインドから21世紀マインドへのシフトがなされていないのが苦境の原因かもしれない。

アパレル業界を観察対象としているカリスマ編集者の眼には、「変わる消費者、変われぬ業界」と映る。消費者は21世紀にいるのに、アパレル企業がいまだ20世紀にいる、という指摘。

出版における20世紀マインドの払しょくとは何で、21世紀マインドへのシフトとはなにか、クリップしたWeb記事を見ていこう。

●トーハン 平成28年度 決算概況 http://www.tohan.jp/news/upload_pdf/70_kessan_siryou.pdf
雑誌は(略)創刊誌92点に対し、廃刊・休刊誌が365点と多かった状況に加え、電子雑誌読み放題サービスの影響も大きく、前年を4.3ポイント下回り前年比95.7%。
コミックは、電子コミックの市場拡大による影響や「暗殺教室」「BLEACH」をはじめとする大物商品の相次ぐ連載終了等によって売上が落ち込み。
・業量が減少する中で人件費等のコストは上昇し、出版輸送の維持は喫緊の課題。

●部数が非公開になった雑誌、順位の入れ替わりが確定した分野…時代の流れを覚えさせる新たな動き…諸種雑誌部数動向(2017年1-3月) http://www.garbagenews.net/archives/2183069.html
紙をめくって情報を得る、あるいは楽しむといった日常生活の習慣が滅びつつあるか。

ただし、たとえば『きょうの料理』下落ながら、『きょうの料理ビギナーズ』健闘といった現象も。

●『atプラス』編集部よりお知らせ - 太田出版 http://www.ohtabooks.com/press/2017/06/05120000.html
電子版のみ残して、「2017年5月に発売した『atプラス32号』をもちまして、いったん休刊いたします。 」

●漫画もスマホで読む時代 「雑誌より知名度が上がる」http://digital.asahi.com/articles/ASK5K4V02K5KUCVL00Z.html
もはや漫画を発表する主体は出版社だけではない。利用した人の数が百万万人以上のアプリは六つで、そのうち出版社運営は3位のマンガワンと5位の集英社の「少年ジャンプ+(プラス)」だけ。
「IT企業にとって漫画は集客コンテンツの一つ。利用者にとってアプリは未知の作品と出合える新たな手段」。

●紙地図、売り上げ20分の1に スマホ猛威、取次も倒産http://digital.asahi.com/articles/ASK587DH9K58UOOB012.html
2017年2月には、「地図の大手取次業者だった日本地図共販が倒産。これを機に紙地図の扱いをやめる書店も出ている。地理院の主な紙地図は、縦46センチ横58センチの大判のため、広いスペースを必要とすることも、書店が敬遠する要因の一つ」。

●中国人の眼に映る今の日本は「20世紀」のままだった http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52000
今の日本に必要なこと:「20世紀マインドから21世紀マインドへ」。
「中国ではもう数年前から、キャッシュレス社会になっています。スーパー、コンビニ、タクシー、レストランから屋台に至るまで、すべてスマホ決済です。カバンの中には一応、10元札(約160円)を一枚だけ入れていましたが、それは万が一スマホをどこかに置き忘れたときのためです。
私は現金を使うなんて、20世紀の映画かドラマの世界のことと思っていました。だから北京から東京に引っ越したら、まるで21世紀の世界から20世紀の世界に舞い戻ったような気分になったんです」。

●「アパレル業界は、タイタニック号のよう」http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/092900020/060900020/
「前年対比増」という20世紀の考え方は、21世紀の消費者の心を考えていない、知らない人の考え。
「モノを持つよりも心の充足を求める人が増えると、買わなくていいものを作り続けている人は残れなくなります」。

たとえば、「メルカリが登場してから、誰かが着たものにも抵抗が少なくなり、リユース・リサイクルが当たり前に」になっている。
またマス消費ももうありえない。
かつては「雑誌が提案してブームに名前を付け、それによって可視化され、広く共有され、というある種の」情報流があったが今はない。つまり、「スマホ時代は個人の嗜好の細分化が進み、同世代で共有する記憶がないから、共有の消費も生まれない」のだ。
そして「時制」が消えた、過去(ファション、あるいは記事)と現在が平台で比較される。

●小学館が女性メディア局を刷新、紙とウェブを完全統合 https://www.wwdjapan.com/425285
「紙とウェブの編集部をシームレスにつなぐプラットフォームを作ることで、今後の広告ビジネスやブランド事業を円滑に進める狙いがある」。

●「フォトジェニック消費」を牽引するミレニアル世代の日本人女性 http://bit.ly/2qQG5tT
20代女性の情報行動が変わった:欲望のビジュアル化=「言葉よりもビジュアルによって直感的に欲望がかき立てられるし、その直感も高速化している」/情報のボーダレス化=「多岐に渡る情報をジャンルレス(さらにレベルレス)にフォロー」し、いまや検索エンジン代わりとなっている。
用途に合わせてSNSを使い分ける:「フェイスブックは「冠婚葬祭メディア」、インスタグラムは「セルフブランディングメディア」、ツイッターは「本音デトックスメディア」。

●ゴミ収集車の運転手が捨てられた本を集めて図書館を設立! 20年間で集めた本は2万冊以上に!! http://rocketnews24.com/2017/06/11/911078/
捨てられていた本を集めて図書館を設立したのは、南米コロンビアのボゴタ市で、ゴミ収集車の運転手をしている50代男性。
「小学校しか出ていないという彼は、20年前にゴミを収集している際、トルストイの名作『アンナ・カレーニナ』が捨てられているのを見つけて家に持ち帰った」。

●Amazon Books NY1号店体験レポート https://www.hands-lab.com/contents/?p=7303
店内にある書籍は新刊と既刊のうちAmazon.comで★4つを得たものばかり。「すでに高い評価がついているもの」=店舗経営の効率化視点。「まだ評価がついていないもの=新商品」=オンライン書店の弱点をリアル店舗で補う視点。

●今、読みたかった一冊と出会えるネット書店『978STORE(キュー・ナナ・ハチ ストア)』オープン https://www.atpress.ne.jp/news/130057
セレクトした「電子書籍」を販売するネット書店。
『978STORE』の特長は、「Tポイントが利用できる」こと、「ソーシャルDRMを採用し、著作権を侵害しない個人利用の範囲内であればコピーが可能である」こと。

┃Others あるいは雑事・雑学
「本を読むこと」の本質を表した風刺画が面白い。人は読んだ本の数だけ視野を広げて違う世界を見ることができる。 http://netgeek.biz/archives/50701

●本にかこまれて眠る「ブックホテル」―箱根で開業へ https://internetcom.jp/202771/book-hotel
ブックホテルは書斎を思わせる客室に独自設計の本棚を設置し、読書や執筆、仕事などができるしつらえにするそう。ほかの施設は日帰りでの利用も可能。

●ニッチすぎるからこそ拡散 クリエイター向き辞典がアマゾン1位になった理由 https://www.buzzfeed.com/jp/tatsunoritokushige/dictionary-hit

●錯視しまくり!飛び出し方がすごい!イラストの概念を覆す3D立体イラスト絵 http://karapaia.com/archives/52240423.html

●「東海道五十三次」や幕末の横浜が描かれた浮世絵2500点が米議会図書館でダウンロード可能に https://irorio.jp/endomayu/20170610/404430/

★Collection | The Metropolitan Museum of Art http://www.metmuseum.org/art/collection#!?showOnly=openaccess&offset=0&pageSize=0&sortBy=Relevance&sortOrder=asc&perPage=20&geolocation=Japan
メトロポリタン美術館が浮世絵や日本画を含む美術作品を無料公開!商用利用OK。

●新日本古典籍総合データベース(試験公開) https://kotenseki.nijl.ac.jp/
改変して利用することも可能なライセンスで古典籍が提供。

営利&改変もOK!古文書や錦絵などの貴重資料を大阪市立図書館がオープンデータとして無料公開 http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170522/Japaaan_56014.html
検索ページのフリーワード部分に「 CC-BY 」という文字を入力すれば、オープンデータだけを見ることができる。