iCardbook(アイカードブック)の船出

これまで主にクリップとセミナー備忘録で情報発信をしてきました。

が、元々は<一人出版>を目指していたのでした。ブログ開設より3年弱の時間が流れ、ようやく新レーベルiCardbook(アイカードブック)を発表します。

企画段階「詩想誌・知識カード」が正式名称でしたが、商品化の過程で新レーベルiCardbook(アイカードブック)としました。

アイカードブック(iCardbook)| 詩想舎 http://society-zero.com/demo/index.html

■「詩想誌・知識カード(レーベル名:iCardbook(アイカードブック)」とは
icardbook front

1.特徴

・アイカードブック(iCardbook)は百篇程度の「知識カード」を編成した、カード型専門書(※)。
・「知識カード」は[カードタイトル(カード番号)+百五十字前後の本文+参考文献(書籍、論文、Web記事他)+註]で構成されます。これで、知のネットワークを可視化します。
・絵画における「デッサン」「素描」の書籍版、あるいは先生の研究ノートのメモの一片を編成した書き物、それが「詩想誌・知識カード」です。

2.メリット~21世紀の「読書」

・【執筆者】「一万数千文字(百五十字程度×百篇)」の書き物で、ご負担は少ないです。
・ご負担が少ないのに、これまでの研究成果を「世に問う」機能が大変優れた書き物になっています。

・【読者】スマホなどのモバイル端末から簡単に、専門書の「設計図」さらに知のネットワークを閲覧できる、新しい利便性を読者に提供します。

・「読書」が机に向かって本を読む、というスタイルから、隙間時間にどこでも好きな時にスマホ画面から読む、というスタイルに変わりました。この時代の変化に合わせ、スマホ最適化を果たした専門書が「詩想誌・知識カード」です。

3.時代背景~「本との出会い」

・情報探索の過程で自分が出かけて行って見つける、たまたま発見する。いずれにせよ本と読者の出会いはこれまで、本棚(図書館の、本屋の、指導教授の、親の、友人の)が担ってきました。ところが現在、情報探索は圧倒的に検索画面から、ということになってきました。あるいはSNS経由で知ることがいまや一般的です。「読書」と同時に、「本と読者の出会い」も検索結果にでてくるための工夫なしには実現しない時代を私たちは生きています。

・この点「知識カード」はランダムな形でブログ展開され検索結果画面に(該当URLが)表示されます。(つまり、「アイカードブック(iCardbook)」がその「編成」に価値があるので有料、有料とするため「クローズ」なのに対し、「知識カード」はオープンに、公開されています

・ちなみにこういった情報流通の根本的変化は、「クローズとオープンのリ・バランス(※)」という風に表現されることがあります。紙の書籍と取次/商店流通網というクローズ重視の情報流通のやりかたには限界がきている。そこで、「クローズとオープンのリ・バランス」が必要になってきているのです。

・知識カードは「オープン」のもとで流通し情報探索のマイクロモーメントに「関心と興味」へ答える(=検索結果画面に出てくる)形で本の存在を知らしめます。「このことはどこに書いてあるのだろう」というニーズに対し答えを得た読者が検索結果をクリックすると、スマホ最適化されたマイクロコンテンツが提示され、そこからさらに読者は「関心と興味」の外に広がる「知の世界」を知ることになるのです。

日本社会での、「読書」刷新を祈りながら。

 


※:紙の本は買わないと全部を読めない、という意味で「クローズ」です。「クローズ」と有料が紐づいています。売り物は「クローズ」でないと、商売はあがったりですから。特に多品種少量販売の本はこの、「クローズ」と有料の結びつきが強いです。

ところがテレビCMに出てくるような商品は、基本、少品種大量販売の性格を有しており、無料の「試供品」を提供し、実際に使ってもらう(オープン)ことで、買わないと使えない当該商品の購買につなげようとします。これは、「クローズとオープンのリバランス」の古典的な一例です。

紙の本における古典的な「クローズとオープンのリバランス」の実例は図書館ですね。図書館で無料貸し出しを受け(オープン)、全部を読むことができます。読まれることで、当該書籍を「私有」したいとその本(クローズ)を買う人がいたり、同じ著者の次の作品(クローズ)を買うなどの行動につながることがあります。つまり、「クローズ」と有料が紐づくという関係を一部壊すことで(貸出=これがリ・バランス)、有料販売の活性化を実現するのです。

音楽などで先行して始まり、動画、映画、本にも普及し始めている「何々放題(サブスクリプション・モデル)」も、個別商品の購買につながることを意図しているという意味で、「クローズとオープンのリバランス」の新しい事例と言えます。

米国では、GoogleBooksプロジェクトが極めて斬新な、かつドラスティックな形で「クローズとオープンのリバランス」を具体化しています。(・日本語のハンデと人工知能とGoogleBooks訴訟  http://society-zero.com/chienotane/archives/3534

また学術出版の世界で雑誌(ジャーナル)はもっとも激しく、リバランスのための試行や思考が続けられている領域だと言えます。(OA(オープン・アクセス)出版モデルが単行本にも(学術出版物)  http://society-zero.com/chienotane/archives/4738


※詩想舎が考える「専門書」の条件:

・必須:「この記述の典拠はいったい何なのか」に応える準備があること

文章中の典拠明示

参考文献一覧 他

・望ましい:索引用語一覧があること(ebookになるとビューアに検索機能があるので不要か)

 上の条件を満たした書き物の中には、学術書だけでなく啓蒙書や入門書もありえます。