●メディア企業のコンテンツを「作る」と「伝える」、あるいは信頼性と利便性、そして分散型メディア

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●メディアの外部配信は分散ではなく「分身」 http://digiday.jp/publishers/huffingtonpost-japan-not-distributed-but-duplicated/
『読者のいるところに行く』、そのために、「分身」がたくさんいればいい!
「近年よく用いられる「分散型メディア」ではなく「分身」だということだ。「LINE上にはハフィントンポストの分身がいるし、スマートニュースにも分身がいる。また新しいプラットフォームが出てくれば、そこにも分身として現れる。いままで出会えなかったユーザーを獲得できるので、大きな機会がある」。
キャラは複数あっていいい。キャラを使い分けることが大事。小説家・平野啓一郎氏の『分人主義』(1人でいくつものキャラを併存させる考え方)でいけばいい。

その様々な分身が様々な人に広告を見せてくれると、さらにいい。「収入源はネイティブアドだ。現状はハフポストのサイトでネイティブアドを掲載しているが、「将来的」に、LINEやスマートニュースにもネイティブアドを載せたい、と竹下氏は語った。「広告主も、ハフポストの分身に掲載できることでネイティブアドに期待してもらえる」。

LINEユーザーはエンターテインされたい:「ハフポストのメインページとは違う価値観で選ぶとそれがウケる。国際ニュースをそのまま置かないで見出しを変える。ライフハックものも反応がいい。アーカイブ記事を再び掲載できるのもいい」。

●急成長! BuzzFeed Japan を構成する6つの要素:創業者ジョナ・ペレッティ氏が来日 http://digiday.jp/publishers/buzzfeed-jonah-peretti-visits-japan-and-talks-about-viral-media/
「人と人を繋げるコンテンツの作り方」が、「伝える」の肝。
「人々はコンテンツの中身そのものについて話したいからシェアするのではない。コンテンツを通して、他者との繋がりを認識し、会話をするきっかけをつくるためにシェアをしているのだ」。

●米CNNに聞く「ニュースメディアが、ニュース以外のコンテンツに力を入れる理由https://www.advertimes.com/20161027/article237017/
情報発信元としての「信頼性」、そして発信する情報の「信憑性」が、CNNの重要なキーワード。
「CNNの核となるコンテンツはブレーキング・ニュース(ニュース速報)であり、それは今も昔も変わらない。しかし、その「伝え方」は大きく変わってきている。一つは、「どのメディアよりも、長く取材を続ける」ということ」。
そのうえでCNNは、「届ける」ための、ICTとWeb活用ノウハウを積み上げてきている。
「国や地域、また年齢や職業などによって、人が情報・コンテンツにアクセスするタッチポイントは異なる。CNNは、さまざまな人がさまざまなポイント(チャネル)からCNNの情報・コンテンツにアクセスできるよう、メディアを設計している」。
たとえば「CNNは、可処分所得が高いオーディエンスを多く抱えている。こうした人々は、ビジネスや政治・経済に関わること以外、例えば旅行やスポーツなどの余暇に関する情報を含めて興味関心の幅が広く、情報探索意欲の高い人が多い」、そこで「ビジネスや日常生活から離れた時間の使い方」「ライフスタイルを充実させるための方法」などを流していく。

●「分散型メディア」への大幅シフトでトラフィックが急増、 月間ユーザー数が3600万人を超えたテック系ニュースサイト http://zen.seesaa.net/article/442682254.html
モバイル化とソーシャル化が分散型メディアの潮流を決定づけ、分散型を支える新しい仕掛けのインスタント記事とAMPが軌道に乗り始めている。
・興味深いのは、自前のWebサイトでのビュー数(図2の①)が減ったにもかかわらず、全体のビュー数がこの1年間で40%近くも増えたこと。

ただし、「自社Webサイトから外部プラットフォームへトラフィックが流れていくとなれば、ビュー数の増加に応じて外部プラットフォームで広告売上を稼ぎたい。でもFacebookやGoogleなどのプラットフォーマーのコントロール下での広告事業となる」。
そこで、自前ブログでも「分散化」させる工夫も必要不可欠に。
・左は自社のWebサイト(theverge.com)上のコンテンツ。右はFacebook上のコンテンツ。Facebookページと同時にブログのCircuit Breakerを立ち上げ、動画を中心にしたコンテンツを投稿。

●Apple「News」刷新、トラフィック増も広告売上は伸びず:パブリッシャーの困難と希望 http://digiday.jp/publishers/apple-news-sending-publishers-traffic-not-revenue/
記事を「作る」と「届ける」についても餅は餅屋。従来型メディア企業は「作る」ノウハウを持ち合わせても、「届ける」ための、ICTとWeb活用術はまだ素人だから。「届ける」はWeb企業に任せた方がよい。
ただし、ここにマネタイズの問題が絡んでくるから、ことは厄介だ。

「多くのパブリッシャーは、Appleのモバイルニュース集約アプリ「News」のおかげで、この1カ月間にトラフィックが大幅に増加したという。だが、いまのところまだ、マネタイズにはほとんど貢献していない」。
なぜなら、プラットフォーム内で記事を読めるようになったから。パブリッシャーはこれで広告収入へのリーチを失っている。「届ける」との引き換えで。
※Appleの「News」は、2016年時点で日本において配信はされていない(アメリカ、イギリス、オーストラリアのみ配信)

●AIや動画 生き残りへ新技術生かす米地方紙 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO08390710U6A011C1H56A00/
米国の地方紙が「トリビューン・パブリッシング」という、新聞社を連想させる伝統的な社名を捨て、近未来的な響きのもの、「トロンク」に社名を変更。変更と同時に、AI」「機械学習」、そして「動画」などネットの最新技術トレンドに積極果敢に取り組む。

「我々の変革戦略は、1億1400万ドルを超す成長資金を調達できた。その焦点は、人工知能(AI)と機械学習(マシンラーニング)を活用して、ユーザー体験を改良し、世界クラスの我々のコンテンツの収益化を改善することだ。それにより、パーソナル化したコンテンツを6000万人の月間ユーザーに届け、すべての株主にとっての価値を押し上げることができる。"tronc"へのブランド変更は、我々のテクノロジーとコンテンツ資源を共有し、戦略を実行していくスタイルを象徴するものだ」。

●米新聞大手トロンク、7~9月7%減収 赤字幅は2割増 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN02H14_S6A101C1000000/
米メディア企業ガネットは、米紙ロサンゼルス・タイムズを発行する同業のトロンクに提示していた6億8300万ドル(約712億円)の買収案を取り下げた。買収資金の調達に失敗したためだ。両社の統合は、米大手新聞社を複数傘下に収める大型メディア企業の誕生となるはずだった。

●硬派なニュースサイトがなぜ成長を続けられるのか http://society-zero.com/chienotane/archives/4923
東洋経済オンライン編集長の成功の理由は、検索エンジン最適化を愚直に実践したことによる。「オープン」にして巨人の肩にのる(Google検索エンジンのアルゴリズムに同期させる)ことが、「届ける」には重要。
(プレゼン資料 http://www.slideshare.net/JEPAslide/ss-67340285

●ネットニュースの虚実に迫れるか 「Google News」に「ファクトチェック」タグ導入 http://wired.jp/2016/10/17/google-fact-check/
これも「構造化タグ」のなせる技。
「政策の詳細より感情へのアピールが重視される政治文化( post-truth politics)の時代といわれる2016年は、事実確認の重要性がさらに高まっている。そんななかグーグルが、虚偽を暴くコンテンツを制作する組織やメディアに報いる取り組みを開始した。「Google News」において、グーグルが認めたファクトチェック記事に対して「Fact Check」(事実確認)という小さなタグを表示することにしたのだ」。

それがファクトチェック記事かどうかをSchema.orgの『ClaimReview』マークアップを参照するなどして判断する。

●Googleは「事実確認タグ」を導入した、Facebookよ次は君の番だ http://www.huffingtonpost.jp/techcrunch-japan/fact-facebook_b_12518202.html
Facebookは米国成人の約半数がニュースを得る場所。この「地位」を維持しようと思ったら、ニュース特有の課題、「真実性」の担保に関する取組がどうしても必要。記事制作は他社がやっていて、FBはあくまでプラットフォームですから、とばかりも言っていられくなった。
Googleが「事実確認タグ」を導入したからだ。
元記事の配信元と同時に、プラットフォ―マーのサービスの「品質」の問題として、ジャーナリズムの世界に、SNS業者が足を踏み入れる現象。

トレンドニュースの外では、Facebookは相変わらず、不正確で不十分なソースの、あるいは完全に偽であるニュース、噂そしてデマで埋め続けられている。たぶん、ニュースフィードではそうしたものを見ることは少ないかもしれないが、イカれた友人があなたの投稿に、良く知られたデマサイトへのリンクをまるでニュースのようにコメントとして貼り付けることを防ぐことはできない。何のタグやラベルもなく、彼らは事実を共有しているつもりなのだ」。
(Facebook CEO says group will not become a media company | Reuters http://www.reuters.com/article/us-facebook-zuckerberg-idUSKCN1141WN

●HTC、手に持った雑誌をVRで“読む”「Viveペーパー」をスマホとPC向けに発表 http://www.moguravr.com/vive-paper-vr/
Vivepaperで実現する読書体験は、出版業界にも変革をもたらすポテンシャルを秘めている。EPUBに映像を実装する、とういのではなく、逆に映像側から書籍の方へ、「読書体験」を変革させる提案が出てきた。

「ARマーカーの印刷されたブックレットを実際に手に持ち、VR上で印刷されたコンテンツを現実と同じように持ち上げたりめくったりできるというもの。
さらにページをタップすると雑誌上の風景が360°写真・映像として周囲を取り囲んだり、3Dモデルや臨場感を高める音声が流れたりと、本の世界に飛び込んだような演出も。
マーカーや手の読み取りは、Viveヘッドセット前面に搭載されたカメラで実現」。

●Amazonと本屋は、どう共存していくべきか https://www.advertimes.com/20161102/article237252/
「「Kindle Unlimited」のように、コンテンツとして広く大量に読まれる本。リアルな書店で手にとって見つけて欲しい本。あるいはもっとニッチに、特定の読者やコミュニティに読まれる本。これらはすべて同じ本ですが、読まれ方、売り方はそれぞれ異なります。従来の出版業界における本の販売方法は、出版-取次-書店とほぼ単一でした。しかし、この本はどの流通と販売先で活きるのかを考え、最適化できる時代です」。

●「販促隊長」は人工知能 講談社、異色のファン獲得大作戦 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/110400688/
AIを使ったチャットボットで、SNS経由書籍の販促をする。人工知能が作品の主人公のセリフを学習し、SNSからの問いかけに、主人公ならこう答える、回答を返す仕掛けを作った。

「チャットボットに人格を実装するにあたって、講談社は犀川氏が登場する過去の森氏作品のデジタルデータを提供した。カギ括弧でくくられた犀川氏の発言や心の中でのつぶやきなどを抽出し、AI会話プラットフォームの一機能である全自動会話エンジンに投入している。TwitterとエンジンをAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)でつなぎ、読者が投げかけたテキストメッセージをエンジン上で分析し、データベース中の犀川氏の発言の中から適切な回答を打ち返す仕組み」。
(販促キャンペーンサイト: 僕は人工知能botです。話しかけて──業界初の「小説キャラAI」が誕生! http://book-sp.kodansha.co.jp/saikawa/

 

┃Others あるいは雑事・雑学

● 「みえる電話」トライアルサービスを提供開始 http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1610/19/news118.html
この延長線上に、「声で書く」執筆が常態化するかも。

●「路線図」という路線図アプリが最高なので作った人に話をきいた http://portal.nifty.com/kiji/161019197845_1.htm
「正確な地図の上に正確な線路の形をそのまま引くと逆に見づらくてイメージしにくいんです、でも、横山さんの路線図は、そこを縦横斜め直線で見やすくしつつも、実際の地理に近づけてるのがすごい」。