●英国EU離脱「事件」解題

160708 MP

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

「法的拘束力」などなく、ただ、政府の意向に添った結論を出させることで、反対派を黙らせるために、「国民に信を問う」投票を実施した。
そんなこととは知らない、一般市民は投票結果には拘束力があると信じていたがゆえに、その投票結果で大騒動が引き起こされた。

これが、今回の英国によるEU離脱を問う国民投票と、フランス革命まえのフランスとの類似性
そして法的拘束力がないから軽んじてもいい、ということにならないのは、その後のフランスの多数の人々が血を流した歴史が証明している。

ちなみに、絶対王制を倒したフランス革命の動乱ののち、ナポレオン(およびその甥であるナポレオン三世)が奇妙にも皇帝の座に就くときには国民投票が用いられた。ヒトラーは自分の行いを正当化するために、総統への就任や、侵略の承認などで、何度も国民投票を実施した。

●英国人の決断 國分功一郎さん http://digital.asahi.com/articles/DA3S12426093.html
英国には「政治の言葉がまだ生きている」。国民投票には、政治家と有権者が正々堂々と議論できる雰囲気が作られることが最低限の条件。さて、日本は?
「日本では、住民投票には議会による否決など様々な障害があり、住民が望んでもなかなか実施されません。他方で、憲法改正の国民投票は、現在の与党が世論とは無関係に望んでいる」。民主主義の方法論としてはちぐはぐな状況が続いている。

住民投票や国民投票なら民主的というわけではない。いくつもクッションがある代議制と違い、直接投票だとそれで決定してしまう。だから住民や国民の要求に基づいて行われることが重要です。
2013年に東京都小平市で都道建設の見直しをめぐる住民投票に住民として関わりましたが、これは明確に住民からの要求によるものでした。それに対し、14年のクリミアのロシア編入をめぐる住民投票や15年の「大阪都構想」をめぐる住民投票は、権力側の道具として使われた面が大きかった」。
「国民投票による社会の分断の強まりを懸念する声もあるようですが、分断が強まるのは、大きな決定が不透明な仕方で行われた場合です。今回の投票はむしろ、英国社会が取り組むべき課題をはっきりさせた」。

●「国際関係」か「民主主義」か?――英国のEU離脱と現代欧州解体の構造 http://synodos.jp/international/17386
投票率は72.2%で国民の関心は高かったし、民意を反映した結果といっていいだろう。その民意は」「EU残留が48.1%であったのに対して、離脱が51.9%。
国家を超えでていく「市場経済のグローバリズムの問題」、それに対する、国家に収斂していく「国民国家のアイデンティティー(文化)の尊重」、両者の関係を調整するのか、これが国民投票が明確にした英国社会が取り組むべき課題。

ことの発端は2014年加盟諸国の民意を十全に反映すべく、初めて全加盟国で行われたEU議会選挙において、EU懐疑派が大躍進した「事件」にある。この「事件」の背景には、加盟諸国が自国と関係のない理由で経済的混乱に投げ出される、という経験をギリシャ危機などで体感したことがある。「安定と成長」を約束したものが「不安定と不況」となってかえってきたのが、一連の「ユーロ危機」の経過であった。
ところが、国民国家のアイデンティティー(文化)の尊重の発想は、国民国家そのものが実は擬制的な統合体であったことを思い起こさせ、国家内の「地域的なアイデンティティーの尊重」の問題を引き起こし、事態はさらに混迷の度を深めている。

●EU離脱引き金に「イギリス解体」の危機 ウェールズでも独立の動き http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/28/brexit-ireland-wales-scotland_n_10709550.html

イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)。つまりイングランド、ウェールズ、スコットランド、 北アイルランドの各地域から成る連合国。
残留票が62%を占めたスコットランド、56%が残留を支持した北アイルランド、いずれも英国から独立しEUに残留する方法を模索し始めている。

●「ロンドン独立で、EU加盟を目指そう」署名に10万人以上が殺到 http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/25/london-independent-from-the-uk_n_10668762.html
国民投票の結果もロンドン市内では、59.9%対40.1%で残留派が多数。ロンドン市長のサディク・カーン市長もパキスタン移民2世で初のイスラム教徒の市長。
そのロンドンでいま、「「ロンドンは独立し、EU加盟を目指そう」と呼び掛けたchange.orgでのネット署名に人々が殺到している」。

●英国民投票、若年層は大半が「残留」 世代間で意識に違い  http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H59_V20C16A6FF8000/
人やモノが自由に行き交う「EUの中の英国」で育った若者の声が、反EU感情や大英帝国時代への郷愁が強いとされる中高齢層に押し切られた。
「英調査機関ロード・アシュクロフトによる1万2369人の投票分析をみると、世代間の断裂が鮮明だ。18~24歳の73%、25~34歳の62%が残留を支持。ところが45~54歳を境に離脱が多くなり、65歳以上では60%が離脱に投票していた」。

●EU離脱はEUでなく、民主主義の仕組みの問題 – アゴラ http://agora-web.jp/archives/2020005.html
移民問題が英国のEU離脱の遠因とする見方は実態を知らない人の暴言。「(英国内の)一部で摩擦があるのは、南アジアや中東やアフリカなど旧植民地・英連邦諸国からの移民で、これはEUのせいではない。嫌なら英国の法律を変えればいいだけである」。
「英国の移民問題は英国が世界中で植民地主義支配をしたツケが回って生じているのであって、EUの政策が寛容だからではない。(もっとも)ツケと言ったって、(実は)利益のほうがはるかに大き(かった)」、だから離脱に投票した人も、案外EUへの普段のうっぷんをぶつけたかっただけ、真に離脱したいと思っていたわけではない人も多かったに違いない。
が、決まったとこは受入れ、それを前提のものとごを進めなばならない。
装置としての「民主主義」、方法としての「国民投票」、あるいはその運営方法の巧拙が、いま真に問われるべき問題かもしれない

●英EU離脱、実際の影響は穏やかで世界的か - WSJ http://jp.wsj.com/articles/SB11084185715531594181404582146000956633554
「移民もおそらく、結果的に良いことだ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済パフォーマンス研究センターの分析では、英国へのEUからの移民は英国出身者よりも良く教育されており、よく働く可能性も高く、受ける公的給付よりも納税額が多い」。

●英EU離脱、欧米型民主主義をわらう中国の内部事情 http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160628-OYT8T50057.html
民主主義は、国民国家が一国内で閉じた状態では機能するのかもしれない。しかしいまはグローバル市場の時代。
このとき、民主主義、あるいは選挙という手法はどこまで、またなにを対象にしたイッシューであれば有効に機能するのか、まだ誰も答えを持っていない。

「国民投票という民主的なシステムはポピュリズムやナショナリズム、極右の影響から逃れることができない」。
「国家として他国との連携を重視する「外向き」思考か、それとも我々のみの生活を守る「内向き」思考か。英国の国民投票の結果は、「内向き」が「外向き」に勝ったものだという見方もできる」が、一方そもそも国民投票は国家を超え出るイッシューには不向きなのかもしれない。

●英国の産業構造を知らずにEU離脱問題は語れない|野口悠紀雄  http://diamond.jp/articles/-/96855
日本と同じような産業構造の国であると考えると、EU離脱問題を正しく理解することができない。
製造業の構成比率(就業者数):英国は2015年9月において、総就業者数3374.4万人のうち、製造業は264.8万人でその構成比は、7.8%。日本は16.1%。

イギリスは、アメリカと中国に対しては、貿易黒字を計上している。したがって、イギリスが貿易関係をより緊密にしたいと考える相手国は、アメリカと中国。
他方、ドイツやフランスに対しては、イギリスの貿易収支は赤字=例えばドイツから見れば、イギリスは重要な市場。「だから、ドイツやフランスはイギリスを手放したくない。つまり、貿易関係を緊密にしたいのは、イギリスというよりは、むしろヨーロッパ大陸諸国」。

「イギリスは国際的な資金仲介活動を行なっている。つまり、さまざまな国との間の資本取引が重要である。EU脱退後、この状態を継続できるかどうかが、イギリス経済にとって最も重要な問題」。

●英EU離脱、本当のわけ 亀裂を招いた実利主義 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO04159470Y6A620C1I00000/
経済視点と産業構造論からEU離脱をちらつかせ、あるいはEU亀裂を画策するのは、自国への実利のみを優先する浅薄な考えだ。

血塗られた20世紀という過去から学び、平和と自由を欧州全体に広めるべきだ」、つまり、独仏が欧州統合を推し進めたのは2度の大戦への反省が出発点。「反EU」は和平の実現という理想主義に反旗を翻すことを意味する。
「スペインもポルトガルもギリシャも自由を見いだした」。つまり戦後、南欧は軍事政権だったが、欧州統合で民主化に弾みがついたとの意味。二度の対戦と冷戦に翻弄された多くの国では、欧州統合は単なる経済利益のための共同体ではない。

●英国が欧州連合の残留・離脱を問う国民投票の実施へ http://www.eytax.jp/pdf/newsletter/2016/Japan_tax_alert_9_March_2016_j.pdf
想定される英国側からの代替案:
EEA(欧州経済領域)モデル
このモデルでは、英国は、共同農業政策(CAP)又は漁業政 策のいずれに参加する義務も負わずに、商品・サービスの単一市場にアクセスできる。
・関税同盟(トルコモデル)
限定的な関税同盟に基づくこのモデルでは、無関税でEU市 場にアクセスできるが、アクセス維持のために英国が遵守する必要のある規則や規制の立案に対し、ほとんど発言で きない。
独自の二国間協定(「スイスモデル」)
スイスとEUとの関係は一連の二国間セクター別協定に基づいている。すべてのセクターが対象となってはおらず(例えば、金融サービスについてはほとんど協定がない)、スイスはサービスに関する協定をEUと締結していない。

 

 

┃Others あるいは雑事・雑学

●英語 EUで公用語の地位を失う http://jp.sputniknews.com/europe/20160628/2384290.html

●イギリス「EU離脱」をめぐる大混乱の実情 ~「タブー」に触れ、怒鳴り合う政治家たち 戦争、ヒトラー、DIY不景気 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48804

●スイスのイニシアチブ 世界に広がる民主主義パワー http://bit.ly/2aUHjc2

●良質な思考のためには心身のコンディショニングがすべて 星野リゾート 代表・星野佳路 http://www.dhbr.net/articles/-/4357

●知的であるかどうかは、五つの態度でわかる。 http://blog.tinect.jp/?p=16095 

 

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