●かつて資本主義は、「自由」と結びついていて人々を熱狂させたのだった。

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┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●(インタビュー)しじみ汁の経済学 チェコの経済学者、トーマス・セドラチェクさん http://www.asahi.com/articles/DA3S12364125.html
日本にも『花見酒の経済』という名著があった。今、二日酔いに苦しんでいる世界の経済や経済学に対し、お酒という「借金(あるいは「緩和」や「公共工事」という金融政策)」の効能に酔いしれていると、手痛いしっぺ返しに合うと、とセドラチェク氏は警告。それも5千年前の叙事詩から近代までを照覧、そして笑覧し、発せられた警告。
・自由を意味する資本主義こそ大事。「成長-資本主義」は最悪。
・「借金」を経済のカンフル剤のように勘違いしている。それは「未来から現在に金を移しただけ」。

「借金とお酒は似ています。金曜の夜にバーに行く。お酒がおいしい。そのときこう思う。自分は歌える、踊れる。口べただがしゃべることができる。お酒からエネルギーをいっぱいもらえる」。
「でもそれは誤解です。お酒からエネルギーをもらっているのではなく、翌日の土曜の朝のエネルギーを金曜の夜に移動させているだけ。週末のエネルギーの合計は一定です」。
「借金も同じ。金がなくなると銀行や友人から借りたり、最悪の場合は姑から借りたりします。しかし実際には、私の未来から現在に金を移しただけです」。

・成長へのこだわりが、病的似すぎるのが20世紀型発想の病理。
「今の経済は躁鬱(そううつ)病的。(略)裕福な社会にとって、より恐ろしいのは躁の方でしょう。成長して成長して、猛スピードで壁にぶつかる」。
「気分のいいときに、それを抑える薬をいやがるように、財政政策も金融政策も政治家にまかせていてはうまくいかない。そこから距離を置いた方がいい」。

●パナマ文書は近代国家への信頼を崩壊させた セドラチェク氏と水野和夫氏、「危機」を語る http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-119246.html
そもそも国家システムには大切にしなければならない3つのポイントがある:生命の安全、信義・約束の遵守、そして財産の保護。
今、世界ではこの3つが大揺れに揺れている。生命の安全はテロによって脅かされ、パナマ文書は信義の実態を暴露、財産の保全もマイナス金利によって脅かされている。

昔の人は、すべての行いが神に監視されていると考え、恐れた」。
「まばたくことのない神の目は、休むことなく情報が流れ続ける今日のインターネットに相当するのかもしれません。神の目によって情報は白日の下にさらされ、政治に託していた私たちの希望は、一夜にして失望に変わってしまいました」。

・「戦争ではなく貿易を」。それは欧州統合の理念とも共通する。
「欧州は、歴史上、最も激しい戦いを繰り広げてきた大陸であることを自覚して、国家間の溝を乗り越えようとしてきた。歴史を振り返れば、国の統一に最大の力を発揮したのは、政治・文化・宗教よりも経済ではないでしょうか」。

●腐敗防止法施行で景気悪化を憂慮する韓国…OECD報告書は「腐敗が成長を妨げるhttp://japan.hani.co.kr/arti/economy/24216.html
経済協力開発機構(OECD)が発表した「腐敗報告書」は冒頭で次のように強調している。 「腐敗は持続可能な経済成長の深刻な障害である」。
旧約聖書によれば、ヘブライ人は50年ごとのヨベルの年に、財産や奴隷を解放したとされている。相続で得た、自分のものではない畑から収穫したもので潤っている(のかもしれない部分)モノを精算するためだ。腐敗も本来自分のものではないモノをため込む事象。腐敗は、成長ばかりか社会を壊す。

●アメリカ人の若者、過半数が資本主義を支持せず http://buzzap.jp/news/20160428-us-young-adults-reject-capitalism/
サンダース候補が勝利するかどうか、そのことより、企業や組織からの献金ではない、大衆からの小さなお金が集まり全国遊説をしている党代表候補が生まれていること、そしてその人の主張が「市場主義経済からの脱却」である点が重要だ。
資本主義の意味は冷戦時代、ソビエト連邦の全体主義体制からの自由ということだった。「しかし、若い世代にとって資本主義とは世界経済が未だ立ち直り切れていない金融危機を指す」。

●書評:時間かせぎの資本主義―いつまで危機を先送りできるか http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016052200006.html
債務国家化した先進国財政。「自由」とリンクしていたはずの資本主義が、ある時点から経済官僚と経済学者により、借金による成長の獲得へ向かったあたりから、国家運営の歯車が狂い始めた。
国民福祉より金融資本の利害が貫徹される欧州の現状は、市場による民主主義への深刻な挑戦。

●増税延期と心の関係 http://mainichi.jp/articles/20160604/ddm/003/070/028000c
人は現在の利益と未来の利益との間では非常に近視眼的な時間選好をしやすく、未来の効用をつい割り引いてしまう(「時間割引」がなせる業。)。増税は厭だ、だけであなたの未来はどうなりますか?
この「時間耐性」については、若者より老人が、女性より男性が弱い。
「考えてみれば政治の世界は「男性、高齢」が主流。目先にとらわれない政策のためには、この辺から変えていくのがひとつの手なのかもしれない」。

●社会保障制度に行動経済学を活かす 大竹文雄の経済脳を鍛える https://www.jcer.or.jp/column/otake/index837.html
経済学者のセイラーが、「A) 1年後にりんご1個、B) 1年と1日後にりんご2個」と、「C) 今日りんご1個、D) 明日りんご2個」のそれぞれどちらが欲しいかと質問をしたところ、多くの人が1つ目の質問にBと答えて、2つ目の質問にCと答えた。たとえ利益が少なくとも、すぐ貰える場合はすぐ欲しい(DよりCを選ぶ)。

「先延ばし傾向による貧困の長期化を防ぐには、職探しや訓練受給などの貧困脱出に向けた行動を起こすことを条件に給付したり、あえて給付に期限をつけたりして行動を促すこと、行動を促すための支援を行うことが大切になる」。

★Executive Order -- Using Behavioral Science Insights to Better Serve the American People | whitehouse.gov https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2015/09/15/executive-order-using-behavioral-science-insights-better-serve-american
オバマ大統領がアメリカの人々のための政府の政策をよりよくするために、行動経済学や心理学などの行動科学の知見を活かすべきだ、という大統領令を出している。