●イマドキの大学教育

D:学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

●「まるで詐欺」怒る選定校 「スーパーグローバル大学」構想 http://www.asahi.com/articles/DA3S12329935.html
「スーパーグローバル大学」(SGU)構想。結果として文科省側も大学側も、大風呂敷を広げてしまった感。
そもそも「海外ではグローバル人材という概念がないし、グローバル化は否定的にとらえられることもある。グローバル人材育成という発想が、グローバルでない」との指摘も。

●シャープの大学教科書電子化システム、9つの大学で採用 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160428_755465.html
大学生協が促進する電子書籍「DECS(Digital Education Contents Support)」計画に、シャープのシステムがドッキング。大学が2つの仕組みを活用する=「無償提供される専門書学習用のビューアーアプリ「VarsityWave eBooks」と、PDF/ePub(リフロー)からのフォーマットへの変換とDRM付与を行う電子書籍入稿システム」。

VarsityWave eBooksアプリには、付箋メモ、マーカー、しおり、手書きデータを自動的にリスト化して自作ノートを作成、任意のページをスクラップする機能を搭載。教員・学生間で手書きデータや学習情報を共有したり、複数書籍の本文を横断検索したり、専門辞書と連携して単語を調べることも可能。
(解説サイト:http://www.univ.coop/decs/

●日本の大学ネット講義、アジア向け理工系教育に活路 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00187680X20C16A4000000/
欧米MOOCの受講者は大学生が多いのに対し、JMOOCでは社会人が過半を占め、生涯教育の手段として地位を固めつつあるのが現状。そこで、アジアへ先進事例として売り込みをかける構想。
「JMOOCでは今年度から、文部科学省、経済産業省、経団連の協力を得て理工系基礎講座のネット配信を計画している。製造業やIT系企業のなかには、新卒採用や若手社員の基礎知識に不安があると考えているところが多く、入社後の学び直しにネット講座を活用してもらう」
このコンテンツをアジアへ。

●美大の先生に聞いてみよう!イマドキのデザイン教育〜早川克美氏にきく〜 https://blogs.adobe.com/creativestation/web-teaching-design-kyoto-art-hayakawa
学歴ではなくて学習歴の更新が重要。知識を身に着けて自分の中に引き出しをいっぱい作って、ケースに合わせて出していけるというのが学び直すことの意義。

職能として確立されてきたジャンルで区切るのではない、新しいデザインの授業。
かつては、お題に対して答えを出してあげるのが良いデザイナー。しかし今は違う。社会に対して問題を発見して「問いを立てる」というのがデザイナーの仕事。
「目の前で見えている問題が本当に問題なのか。本当はもっと背景深い部分に問題があるのではないかといった、「問題を読み解いていって新しい本質的な問いを立てられる人」がデザイナーになるべきなんじゃないか」。

●課題は「エデュテインメント」の次のステップ http://blog.szk.cc/2016/05/05/we-need-the-next-step-from-the-edutainment/
アクティブ・ラーニングが大流行した社会学的背景について。

教師の役割の変化:「アクティブ・ラーニングにおいては教師は知識を伝達するのではなく、学生がともに学び合い、教え合う環境を整え、彼らの発言を引き出す役割を担うのであり、「舞台上の賢人(Sage on the Stage)」から「隣のガイド役(Guide on the Side)」になる」。
重要なのは、「イントロダクションのためにエンターテイメント性を取り入れたアクティブ・ラーニング」と「学習内容の定着や体系化のために取り入れられるアクティブ・ラーニング」がまったくの別物であることと、前者から後者へのステップを上がるのは容易ではないこと。

●人工知能は教育を修正できるのか?ビル・ゲイツに聞いてみた http://gigazine.net/news/20160426-ai-fix-education-bill-gates/
教育における人工知能の役割は何だと思いますか?
ゲイツ:
それは、ものを書くことです。人が書く文章に対してフィードバックを送れるようにする人工知能の取り組みは現存し、私は今後数年で可能になると考えています。文章を見て書き手が成長するようなフィードバックを送るには精読が必要で、機械的であってはいけません。そのため、教育分野における人工知能がたどり着くべき頂点の1つは「対話全体の豊かさ」を実現した家庭教師」。

そしてもうひとつ、Personal Learning(個人学習):「人が学ぶ速さには個人差があります。もしクラスの中に理解に秀でている子どもがいれば、彼らは退屈してしまうので問題です」。

●哲学が教える「人工知能は恐れるに足らず」 http://toyokeizai.net/articles/-/114108
対話を重視したソクラテス。
「人工知能は、高い知的能力をそなえてはいますが、そもそも生き物ではありません。生命をもたないので、本当の意味での自分の関心がありませんし、当然自分のあり方を反省したりもしません」。
なぜそうなるかというと、人工知能は他者(つまり設計者)によって存在理由を与えられているモノだから。
だから、人間の“人間としての善さ”は何か、”人間としての美点“はどこにあるのかというと、「それは探究の生にある」というのが、ソクラテスの最終的な答えだということになる。

●Udemy×TABLE FOR TWO 「あなたが学ぶと、世界のみんなが学ぶ」 http://www.benesse.co.jp/udemy/tft/
世界最大級のオンライン学習プラットフォーム「Udemy」がTABLE FOR TWO寄付つきコースを開始した。
「TABLE FOR TWO」の「2」は先進国と後進国を指す。直訳すると「二人のための食卓」。先進国の私達と開発途上国の子どもたちが食事を分かち合うというコンセプトの下、社員食堂や店舗でTFTヘルシーメニューを購入すると、代金の内20円が寄付となり、飢えに苦しむ世界の子どもに給食1食分をプレゼントできる。

その教育事業とのコラボが、Udemyの取り組み。
「1コース受講につき1週間分の給食(1食20円の給食5食)がTFTを通じて開発途上国の子どもたちへ届きます。TFTの支援先では、日々十分な食事をとることができず学校に通えなかったたくさんの子どもたちが、学校給食プログラムにより再び通えるようになり、出席率・就学率が大きく向上しています」。

●「Uberだけではない」:カーネギーメロン大のコンピューターサイエンス学部長に聞いた、学界からの人材流出問題 http://jp.techcrunch.com/2016/05/05/20160426it-isnt-just-uber-carnegie-mellons-computer-science-dean-on-its-poaching-problem/
カーネギーメロン大(CMU)から、あのシェアリングエコノミーの先進事例を作ったUberが科学者とリサーチャーを40人を引き抜いた。引き抜かれたのは同大学のロボティクス学部。
ただし、自身も2006年にGoogleに引き抜かれた後、同じ大学に学部長として復帰したAndrew Moore氏は「私たちは新しい人材の不足に苦しんでいるのではなく、彼らにポストを与えることに苦労しているのです」、と。
「実業界に引き抜かれた教授はその後、お金の心配をしなくても良くなります。ただその一方で、(学界に残った)教授は、子どもを大学に生かせるための資金繰りに苦労している。おかしなことですが、これが現実です」。
「そのため、私を含めた学長たちは、彼らが数年間スタートアップを設立したり、大企業に勤めたりすることを推奨し始めています。そして学界に戻ってきてもらうのです」。

●データえっせい: 大学生のバイト目的の変化 http://tmaita77.blogspot.jp/2015/05/blog-post.html
わが国の私費依存型の高等教育がそろそろ限界に達しつつある。
かつては、たとえば夏休みに友達と海外旅行に行く金を稼ぐ、のがアルバイトの目的だった。
今の学生は違う。

仕送りが減る中、生活費のため、授業料を納めるために、アルバイトをしている。

●高速で論文がバリバリ読める落合先生のフォーマットがいい感じだったのでメモ http://lafrenze.hatenablog.com/entry/2015/08/04/120205

どんなもの?
先行研究と比べてどこがすごい?
技術や手法のキモはどこ?
どうやって有効だと検証した?
議論はある?
次に読むべき論文は?

●あなどれない「手書き」の学習効果 http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581644331252188072
「タイピングよりも手で書く人の方が飲み込みが良く、情報を長く記憶し、新しいアイデアを理解するのにもたけている」。
問題はパソコンを使う人には逐語的にノートを取る傾向があること。
「皮肉なことに、速くノートを取れることこそが、ノートパソコンを使って記録取ることの魅力だが、逆にそのことが学習(効果)を台無しにしている」。