知のパラダイムシフト

「一人出版社は、本の編集者 + エンジニアでうまくいく。」

※これはインストラクショナルデザイナー、境祐司さんの「ニューズレター」の配信記事。ご本人のご了解をいただき、全文転載させていただいています。


「一人出版社は、本の編集者 + エンジニアでうまくいく。」

Vol.033[クリエイティブエッジ・ニュースレター]号外
配信日:2015年2月25日(水)

2015年3号目の配信になります。
今日は「一人出版社」について書いてみたいと思います。

「一人出版社」

一人出版社は、文字どおり、一人で企画から制作、販売、販促まで全てやります。

「一人出版社」は世界中に存在し、会社組織の出版社と見分けがつかないのが特長で、つくられている書籍を見ても、判断できません。

例えば、国内では、フリーランスのウェブデザイナー、こもりまさあきさんが「一人出版社」として活動されています。LeanPubを利用し、決済にはGumroadも採用しています。

Responsive Email Design
http://theneutrals.io/redp/
Sketch 3 Book Preview - the neutrals
http://theneutrals.io/s3bp/
Development Environments for Web Designers
https://leanpub.com/defwd

「Responsive Email Design」は、KADOKAWAから一般の書籍としても販売されています。

「本」の希少性が重要に

「一人出版社」は販売も自分でやりますので、Kindleやkoboなどの電子出版プラットフォームは使いません。

利便性を上回る「本」の希少性が重要になります。

なぜ、こんなことが可能かというと、高度に進化した開発ツール、初期費用のかからない商用のウェブサービスなどが出揃い、核となるコンテンツだけに専念できる環境が整ってきたからです。

自動化可能な作業と、絶対に自動化できない(効率化すらできないアイデア、企画などの)作業を明確にして、自動化できるものは最新の技術を駆使して、徹底的に進めます。

例えば、電子書籍であれば、原稿は自動化できませんが(効率化もできない)、マークアップはかなり自動化できるようになってきました。

組織なら、人が頑張って、力技で作業をこなすことも可能ですから、自動化に固執しなくてもプロジェクトを進めることができます(むしろ自動化する手間の方が面倒だと感じてしまう)。

一人だと、力技は命取りです。まず、続きません。

ロボット化

あらゆることを一人でこなす「一人出版社」だからこそ、ロボット化が必要で、自動化を徹底して、発想や企画を「主」にしていく必要があります。

最大の課題は、媒体力で、どうやって「本」の存在を知ってもらい、詳しい情報にアクセスしてもらうか、ここだけは技術では解決できない部分で、最も難易度の高いプロセスだといえます。

ですから、一人出版社は、長期戦で出版計画を考えていく必要があります。

本が出来上がってから、宣伝しても、伝わらないのですから、本が出来上がるまでの数ヵ月を使って、プロモーションしていくしかありません。

地道で時間がかかりますが、長期戦前提の出版であれば、本を売っていくことができます。

そして、本が売れるようになってきてから、初めてソーシャルメディアでの告知などが生きてきます。媒体力がゼロの段階では、消耗するだけかもしれません。

一人出版社は、小資本ビジネスであり、広告もなかなか投入できませんので、短期決戦は難しく、時間をかけて育てていくのが基本だと感じます。

ただ、数年前は、いくら時間をかけても、個人では不可能なことが多かったのですから、現在はチャンスに満ちています。

今は、「一人出版社 = 著者 = 編集者」ですが、「一人出版社 =  編集者」が本流で、著者との出会い、発掘がポイントになりそうです。

どう考えても、「一人出版社 =  著者」では、継続的に発行するのが困難になっていくからです(この場合は、個人出版になります)。

昔から、スーパーマンのような人はいて、何でも出来てしまうのですが、今は、技術を駆使すれば「計画的に」進められるようになったのが、大きな違いであり、革新的なことだと思っています。
今までは、お金がないと、有効な技術を使うことができなかったのですから。

本の編集者 + エンジニア

現時点では、本の編集者 + エンジニアが「一人出版社」成立のポイントといえるのではないかと思います。

出版社をつくりたい編集者は、エンジニアを探す。
出版社をつくりたいエンジニアは、編集者を探す。

今後は、さらに敷居が下がっていくと思いますので、変化していくと思いますが、いずれにしても、こんなことが出来るようになってきたのは、嬉しいことで、チャレンジする人が増えて欲しいと思っています。

●最初のコンテンツをリリース

1冊目「Dreamweaver基礎編」の電子書籍をリリースしました。
2冊目「Photoshop実践編」は、今週中にリリースできるように進めています。

デザイナーのためのデザイニング・イン・ザ・ブラウザ
■専用ページ:
http://design-zero.tv/school/webdesign/

「Dreamweaver基礎編」については、「Dreamweaverで、Bootstrapを使う」パートに反響が集中しています。
デザイニング・イン・ザ・ブラウザではなく。

Dreamweaverで、Bootstrapを使いたい人が多かったということですね。
想定外でしたが、Bootstrapに興味のある人は、Dreamweaverで試してほしいと思います。

境祐司
ebookcast@gmail.com

==================================

バックナンバーの閲覧
http://bit.ly/RKGkk9


◇関連クリップ

●伊藤穰一: 革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう

「Googleにせよ Facebookにせよ Yahooにせよ 学生達が許可なく イノベーションを 進めた結果です 誰の許可も得ず プレゼンもせず まず何かを作ってから 資金を集め その後 ビジネスプランを考えて 必要になったら MBA取得者を雇うのです つまり 少なくとも ソフトとサービスの分野では インターネットによって MBA主導の イノベーションモデルから デザイナーと技術者主導の モデルへと移行したのです」。「イノベーションは、今身の回りで起きていることに心を開き注意を払うことから始まるのです。彼はこう主張します。フューチャリストであってはいけない、「ナウイスト」になるべきなのだと」。 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>